鉄子との思い出の夜

鉄子のガン闘病記 10

「鉄子、倒れてから最期の夜まで」

9月11日は晴天でした。

午前中はぐっすり寝ていた鉄子でしたが
午後になると「お散歩に行く」の催促があり
お城の堀の遊歩道に行きました。

そのとき、かなりお口の状態が悪化していました。
もう食べるのが大変なんだなと
見てわかる程度まで急激に
変化していました。

しかし、鉄子は
そんなことなんとも思ってないように
自分なりにいろいろがんばって食べて
私たちにしたいことの意思表示をしていました。

その日も
お堀の鯉と鴨に上げるお菓子をせがんで
主人に食べさせてもらい
うれしそうにしてました。

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おとうさんと楽しそうにしてました。

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3人で一緒にゆっくり歩いたり抱っこしたりして
県立図書館のほうへ。

少しして「本を返してくるね、
待っててね」と主人が私にリードを渡し
少し先を歩きはじめました。

鉄子はそれを追いかけようとしたのですが
右側によろよろっと傾いて
そのまま植え込みのほうへ倒れこみました。

私は「鉄子が!!大変!」と叫んで
主人は走って戻ってきた。
鉄子はキャンと言って
目がうつろのまま横たわっていました。
二人で「だいじょうふだよ」ってなでてやりました。
その様子は、このまま逝ってしまうのかと思いました。
それならそうで、鉄子は苦しまないでいいのかもしれない、と
私はそのとき思いました。
「もう駄目なのかも」と私が言うと
主人が「まだ大丈夫だ」と言いました。
しかし、主人が鉄子の足の裏を触ったとたん
鉄子は、ぱっと立ち上がって
「おとうさん!帰ってきたの」というようにうれしそうにしました。
私はさっき、もう駄目かもと思ったので
うれしくて涙がぼろぼろ出ました。

「よかったねーよかったねー」と言いながら
鉄子の頭を撫でてやりました。

これが倒れた2回目でした。

そして少しボーっとしてる鉄子を抱いて
私たちは急いで家に帰りました。

家に帰るとき、車でうれしくて騒いでいた鉄子でしたが
だんだん元気なくなって
家に帰ったときはぼんやり、しょんぼりって感じ。
そして少しケホケホしていました。
でも私が喉をなでてあげると止まるので
つきっきりで撫でてやりました。

暫くしたら「何か食べる」と私の膝に手をかけるので
台所に行くとついてきて
ジャガイモと鶏肉煮た物、ウグイス豆を食べました。
味噌汁も食べてくれました。

この日から食べるのが優先だと思い薬を一切やめました。
薬を混ぜたことで食べるのをやめたら栄養が取れないからでした。

この日から、主人だけじいちゃんのお世話に行くようにして
私は鉄子につききりにしました。
トイレも我慢してました。

私自体が食欲を失っていましたが
私が食べるのを見て鉄子が「それ欲しい」と食欲が出る場合があるので
無理して食べていました。

その日の夜から
鉄子がどこで寝てもいいように
ふすまを開けて
転んでも頭を打たないように
床に布団やらマットを敷き詰めました。
私のベッドで寝るのが好きだったので
ベッドに簡単に登れるように
布団で回りを埋めてあげました。

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夜中もウロウロ歩いたり、
深夜にもかかわらず、散歩に行こうという鉄子でした。

2015.9.12
この日の朝も「ワンワンお散歩!」という声で目覚めました。
元気でした。
散歩から帰るとまた眠りにつく鉄子を見て
主人と鉄子を病院に連れて行くかどうかを話し合いました。
というより、私が「病院どうしよう?」
主人「これは動かさないほうがいい」と言いました。

2週間に一度抗生物質注射をしてたのも
行かないことにしました。
朝のお散歩に行っても息が荒くなる様子から
車に乗せて移動すると
興奮からよくない状態になるのではないか、
病院に行くことをやめようということになりました。
自分ひとりでは決断できないことでした。
私はどうしたらいいのかよくわからなくて
主人の言うようにするのが鉄子にとって一番いいと思いました。

そして
安静にしていたら
また元気になると信じていました。
この日も鉄子はお散歩に行くといって
主人を誘い、
私にはご飯ご飯と言って、
いつもの鉄子でした。

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いつも、お散歩を催促する場所で
「おとうさん、お仕事終わるかな?」っと
じっと見つめてる様子です。

私はキャベツやにんじんを切ってお散歩で
ご飯食べさせようと、何も考えずに用意してたら
主人が「公園で興奮させたらまた倒れるだろう」と言って
この日からもうドライブはしないことになりました。
冷静に考えたらそうだったのに
私は食べさせることしか考えて無かったです。

おとうさんが何度も鉄子を抱っこして
近所を回ってくれました。
私はヘルニアが悪化してたので
全部は一緒行けず、
ほとんどは家で待っていました。

お散歩から帰ると鉄子は
私がご飯を煮てる台所に来て
「今日は何かな?」って見張りに来ていました。
「今日もおいしいよー」って言いながら
色々メニューを揃えてやりました。

この日も結構食べていました。
お夜食も色々食べました。

夜8時頃、少しケホケホが多かったので
スマホでそっと鉄子の様子の動画を撮りました。
鉄子はつれていかないけど
先生に動画を見てもらうことがあるかもしれないと思ったからでした。

この日の夜も鉄子は好きなところに移動して
私のベッドの横で眠ったり
自分のベッドに行ったりとしていました。
夜中に時々こっちにきては「なでて」というので
朝方までなでたりしてあげました。

2015.9.13
この日は
朝から元気いっぱいでした。
朝、5時にワンワン、お散歩催促して吠えました。
少しケホケホしていましたが
主人と近所にお散歩に行き
抱っこで歩く程度でしたが
おしっこもウンチも正常。
よいものがすんなり出ました。
何度もお外に行きたがるので
そのつど抱っこして主人が連れて行ってやりました。

この日はご飯もたくさん食べて
朝昼晩と色々食べてくれました。
だから、「またきっと元気になるね」と主人と話してました。

しかし、更に前日より口の様子があきらかに悪化していました。
でも、一生懸命食べる強い鉄子だった。
とにかく食べる!
食べて、お散歩に行くんだ!という感じで
私に「美味しいもの出して」とこの日はすごい催促してました。
生きる気力をはげしく感じました。

だけど、夕方
私のベッドの白いふわふわ毛布の上で
ゆったりとしてた鉄子が
急にハーハー言って、
フラリとまた横に体を倒しました。
トイレに入った主人を大声で呼びました。

主人と二人でまた鉄子を撫でながら
「だいじょうぶだよ、すぐよくなるよー」って言いながら見守りました。
絶対にまた復活するよ!絶対だよ・・・
そう思いながら見守るうちに
また鉄子は蘇生しました。

これが倒れた3回目でした。

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そして目の前にあったお父さんの顔を見つけて
ぺろぺろなめて
「おとうさん、どうしたの?」って言ってるみたいでした。

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そしてこの後、「おかあさん、何か食べたい」と復活したのでした。

この日は、お昼は焼きうどん
夜はかぼちゃのペーストと、黒糖饅頭少し。
夜食にクッキームーンライトを1枚食べました。

蘇生した後はケホケホも少なく目もしっかりして
家中に敷いた布団の上を探検している様子でした。

食べることも一生懸命で
なんの不安も無く、痛みも無く
明日もお父さんとお散歩に行くんだよ!って
思っていたと思います。

よく動物は自分の死期がわかるとか
亡くなる前に挨拶するとか
遺される飼い主を心配しているとか言われますが
私は、鉄子にそんな悲しい思いをさせたくなかったし
そんなこと考えさせたくなかったし
実際、鉄子に限っては
無邪気にいつもの日々を過ごしていたと思います。

最期までおとうさん、命で。
最期まで食べることに一生懸命でした。

私が寝るまで自分のベッドで寝ていました。

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私が寝る時間には和室に一緒に来てました。

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しばらくここで寝ていました。右が私のベッドです。

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主人が寝た後、私は鉄子のことが気になって眠れず、
ケホケホというたびに鉄子の喉と胸をなでてやっていました。
鉄子はなでてあげるとケホケホもとまっていて
うれしそうな顔をしていました。

そして眠ったお父さんのところに行って
お散歩に行ってもいいよって
呼びに行ったりして。
みんなで同じ場所でごろごろ寝てるが
うれしい様子でした。

深夜3時ごろのことで
またクッキーを食べたがったので
砕いて食べさせてあげました。

その後は鉄子は私のベッドに乗って
「ここで寝るね」というように
お気に入りの白いふわふわ毛布を足で丸めたので
私はその側に横たわると
鉄子は私の右手に顔を寄せてきて
また「撫でて撫でて」と言いました。

そしてずっとそれから撫で続け
時々鉄子は自分でお口の回りを前足できれきれして。

私の右腕の中で寄り添って眠ってくれました。
ケホケホもしなくて
すやすやと安らかに眠る可愛い鉄子を見て
私もやっと
途切れ途切れの睡眠をとりました。

これが鉄子と一緒に眠った最期の夜となりました。

それは
これからもずっと忘れることのない静かな
そして安らかな夜でした。

今もあの夜、撫で続けた鉄子の温かい体と
柔らかいあの毛の手触りが
そこにあるかのように蘇るのです。

(辛い日記ですみません、
鉄子の記録として書いています。
コメントなど書きにくいので
読み飛ばしてくださいね。
今頃こんな記事ですみません。

あと1日あります)

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13 Responses to 鉄子との思い出の夜

  1. パピ より:

    鉄子ちゃん、本当に本当によく頑張ったね。
    そして、今こうして当時を振り返れるようになった愛子さんに安堵しています。
    鉄子ちゃんが逝ってしまってから、愛子さんがどうにかなってしまうのではないかと、気にかけていました。
    でも、鉄子ちゃんは愛子さんとお父さんにこんなにも愛され、大切にしてもらって幸せだったと思います。
    愛子さん、お父さん、お疲れさまでした。

  2. 桃の姉 より:

    まだ一歳の桃、でも毎日いつかやってくる「その日」を考えてしまうわたしがいます。
    「その日」を恐れて「今」の桃を受け入れきれない自分にならないよう、後悔しないよう精一杯愛してあげようと思う日々です。
    それにしても、ワンコはどうしてこんなにも私たち飼い主を愛してくれるんでしょうね。

  3. ちゃーこ より:

    鉄子ちゃんは最後までお父さん、お母さんの大きな愛情に包まれて、やりたい事を沢山やって、食べたい物を精一杯食べて幸せに過ごせたのですね。鉄子ちゃん、お父さん、愛子さん、本当によく頑張りましたね。涙が溢れると同時に鉄子ファミリーの皆さんの絆に感動の気持ちも溢れました。 鉄子ちゃん、素敵なご両親をもって本当に幸せだね。これからもずっと一緒だよ。
    お父さん、愛子さん、こんなに頑張り屋さんで素直で可愛い鉄子ちゃんは自慢の子ですね(*^^*)
    愛子さん、これからは鉄子ちゃん、ご家族の為にもご自身も労ってあげて下さいね。
    私にとって一生忘れないであろう素敵なご家族です。これからも鉄子ちゃんのお話、無理のない範囲で聞かせて下さいね。
    鉄子ちゃん、ずっとずっと大好きだよー!!

  4. yukarin11 より:

    愛子さん
    おはようございます。

    最後の静かな夜はまさに聖夜なのではと思ってしまいました。
    明日も必ず読みます。

  5. ままりん より:

    こんにちは。

    鉄子ちゃんは最後まで生を全うして亡くなったのですね。
    あいこさんやおとうさんの愛情をたっぷりと受けて幸せなまま逝ったんだと思います。

  6. りりこ より:

    凛は一人ぼっちでいってしまったから 怒ってるかな?
    と、鉄ちゃんと比べてしまいますが、充分可愛いがった
    のだからいい と思えるようになりつつあります。

    お父さん お母さんと最後まで一緒にいれて
    鉄ちゃんはとても幸せでしたね。
    お父さんの支えが力強いですね。

  7. 幸です より:

    鉄ちゃんはほんと頑張ったね、明日を信じてましたね、
    涙が出ます、まだまだ生きていてほしかったです。
    可愛いですね♪

  8. もんち より:

    静かで安らかな最後の夜を過ごせた事、
    生涯忘れる事はないでしょう。
    鉄ちゃんの柔らかで暖かい体の感触も。

    鉄ちゃんも愛子さんの暖かな温もりの中で
    最後まで穏やかに眠りにつけた事、
    幸せに感じていたでしょう。

    鉄ちゃんはさぶろーさん、愛子さん、お父さんの
    おうちに育ってほんとに幸せだったね。

  9. ハリーママ より:

    鉄ちゃん、本当に前日までちゃんと食べて、元気でしたよね〜。
    翌日のブログ、信じられませんでした。
    鉄ちゃんは愛子さんとお父さんに沢山たくさん愛されて
    シアワセでしたよ。
    鉄ちゃんの最後の日が怖い、私です(・・;)

  10. ラッキーママ より:

    あいこさん、お父さんと皆で和室でごろごろと眠れて幸せだったでしょうね~
    お布団がいっぱいだ事!気持ちよさそうだ~
    喉が塞がったりせずに、さいごまで食べられたことは何よりよかった。

  11. パピ+ヨン より:

    おとうさんのお仕事、終わるまで催促せずにじ-っと待ってる鉄子ちゃん
    なんてお利口さんなんでしょう
    どんな時も鉄子ちゃんに不安がなく過ごすことができて、愛子さんとおとうさんの努力に頭が下がる思いです。

  12. oyajisann より:

    今晩は上手く表現出来ませんが、あまりに克明な記録その時々の鉄子姫が目の前にいるようで泣けてきます。

  13. みえ より:

    鉄ちゃん
    おとうさんとおかあさんと
    いつも一緒ですごく幸せだったと思います。

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