不思議な記憶

こんばんは。
愛子です。

私の肩から斜めがけのかわいいポシェットには
胸に刺された2本のドレンと
リンパ液、血液をためる容器が入っています。
この液体が溜まるのが減れば退院です。

そして
携帯の青い紐。
まさに紐です。

これは
実は父さぶろーが私の介護を受けるようになったとき
用意した呼び出しブザーの紐なのです。
この青い紐の先に
さぶろーは
私を呼ぶためのブザーをつけ
首にぶら下げていました。

かなり大きい音がするので
さぶろーは遠慮してなかなか押さず、
携帯で私を呼んだりしていた。

いつも父がお守りのように首にぶら下げていたこの紐を
私は父亡き後、携帯につけました。
そしてこうやって、首にぶら下げているんです。

今回、麻酔の副作用で吐き気がひどく
何度も看護師さんをブザーで押すとき
父の気持ちを思い出していました。

この病院は
明るく、
そして海の底のように静か。

深海から
上の光を仰ぎ見てるような。

5階の空中庭園も花が植えられ
患者さんたちは
いつもそこで
ひそやかに
話し込む。

1階テラスの中庭も
緑が鮮やかで、鳩やすずめがたくさん。

鳥たちはパンを食べる人の傍らに
静かに寄ってくる。

この鳥たちに
どんだけ癒されたか・・・

かわいいしぐさに鉄子を何度も想った。
ありがとう。

この病院を選んでよかったと心から思う。

そして
私の不思議な記憶。

それは
まさに
私の手術中のこと。


(病室窓からの夕焼け)

手術のときは
なんの記憶もなく
病室に戻ったと思っていた。

だけど。
副作用の激しい吐き気が一晩続き
ようやく眠った朝の3時。

ある場面が
フラッシュバックのように・・・


(病室の窓から撮影)

手術中の自分を上から見てる私。

そして、
手術室の
片隅にたたずむ薄っすらとした人影、

それは・・・

私の両親でした。


(スカイツリー)

少し若い母と父。
父は背広を着て
母は淡い紫色のワンピース。

寄り添い、手術中の私を見つめてる。

そして
先生に何度もお辞儀をしてる。


(東京タワー)

それを
なんだか
ぼーっと声も出せず
見ている私。

もしかして
手術中に魂だけ
抜けて
天井に貼りついていたのかもしれない。


(左端はレインボーブリッジ)

手術が無事に終わり、

主人と息子が、そして妹が

まだ朦朧とする私のベッドのそばにそっと立ったときも

皆の後ろに

誰かが

いるような気がしてた。


(毎日来てくれる主人、)


(お休みの日は必ず来て、私の世話してくれた息子。)

きっと

母と父が
来てくれていた。

なぜか
私よりも若い年齢の両親。

全身麻酔が見せたかげろうのような残影を
懐かしみながら
久方ぶりに親のあたたかさを感じ
何度も何度も思い出しています。

幻だったとしても、
会えてうれしかった。

来てくれてありがとう。

手術の翌日
息子の下記の曲を聴き
生きてることに感謝し
心からうれしかった。

この曲は
私のがんがわかったときに
息子が作っていた曲。
私のために
作ったわけではないけど
あの日、失意の私が
生きる勇気を持てるように
心が動いた。

クリックすると「Jewel in the Heart」再生開始。



(イラスト Naoki)

そして!

鉄子へ、

おかあさんがいない間、
下痢もしないで
元気でいてくれてありがとう。

いつも
かわいい鉄子の顔、
おやつくださいーって言う鉄子の顔、
抱っこしてーって甘える鉄子の顔を
思い出して
おかあさんは
がんばったよ。

もうすぐ
会えるね。

みんな、みんな
ありがとう。

心からありがとう。

愛子

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14 Responses to 不思議な記憶

  1. ケイ より:

    きっと、サブローさんとお母様が、ずっと寄り添っていてくださっていたんですよ。子どもを想う親の想いは時も空間も越えて遙かな先まで届くんですね。何だか感動しました。それに、青い紐には確かにサブローさんの想いが籠っていて、あいこさんの回復を支えてくれていたのかな…と。あいこさんのがんばりを見守っていてくれたんじゃないかと思います。
    私の両親も手術の日は必ず行くと言っています。無理しないでと言いながらも、ありがたいです。今日のあいこさんのお話を読んで、親の想いを当たり前と思わず、感謝しなきゃと思いました。
    おとうさん、おにいたん、鉄ちゃん、もうすぐ大好きなおかあさんが帰ってくるよ。よかったね。

  2. ぱぴそら より:

    涙出ました。
    あいこさん、お大事にね。

  3. 幸です より:

    いよいよ退院ですね、良かったですね~ 素敵な病院ですね、景色が素晴らしいですね~私も癒されましたよ。 手術の時ご両親みえてたんですねありがたいですね私はそう思います、見守ってくれてたんですよ嬉しいですね~ 優しいお父さん、なおきさん、可愛い鉄ちゃんもうすぐお家に帰れますよ、あい子さん良かったですね、よく頑張りましたよね~これからもず~と応援してますからね、鉄ちゃんが待ってますよ~抱っこしてあげてね、鉄ちゃんも頑張ったですよね(^-^)

  4. 赤べこ より:

    ご両親がずっと見守って下さっていたのですね。親の愛って凄いですね。涙涙
    いまは、退院が待ち遠しいですね。鉄子ちゃんもどんなにか心待ちにしている事でしょう (^o^)
    愛子さんの撮られる写真は、どれも本当に素敵ですね。真っ直ぐご自分と向き合い、前を見据える力強い意志が感じられて、かえってこちらが元気付けられてしまいます。

  5. こんにちは。
    久々に覗いてみてビックリ!
    私も10日ほど入院しましたが、
    病院が嫌で、早く帰ろ事だけを考えてました。
    その時はマリリンもハッピーもミルキーも居なかったので、
    気をもむことは無かったのですが、
    いま入院したら、ワン子に会えないのが一番辛いかも???
    病名が良く判りませんが、来月中頃までならひまわりが咲いてると思いますので、
    外に出れたらヒマワリに元気を貰ってくださいね☆
    http://www.geocities.jp/kin_taba05/2012_0/201207015.html

  6. 北海道のラッキーママ より:

    愛子さん、もうすぐ退院おめでとうございます。
    やっと 鉄ちゃんにも再会できますね!
    幽体離脱ってやつですかねー? 私も1度だけ経験あります。(病気などではない 普通のときに。)
    小さな私が、寝ている私を上から見てました。
    また、小さな私が、ピカッと光った場所へワープしたりもしました。
    不思議だったけど 恐いとかいう感覚もなく 後で思うとなんとなく楽しかったような…。
    退院したら、鉄ちゃんと再会できた時の様子 是非教えてくださいね。

  7. パピ+ヨン より:

    ジ-ンとするご両親の愛ですね。
    窓からの景色も、ステキです*
    そして久しぶりのNaokiにいたん☆の後ろに星がいっぱい☆☆☆
    そしてひまわりのっけの鉄子ちゃん
    朝から癒やされましたょ
    後二日の入院生活ですね。十分休養されて下さい。退院してもご無理なさいませんように・・。

  8. りあるママ より:

    私の父・母・祖母・弟は手術経験者です。
    私の母親は30年前に心臓弁膜症で
    8時間にも及ぶ大手術をした時に、病室でも
    手術室でも亡き母親を見たと言ってました。
    いつも『大丈夫だよ』っと微笑んでいたとか…
    きっと娘(母)を心配して姿を見せてくれて
    見守っていてくれたんだと思います。
    あいこさんのご両親様も手術の当日
    あいこさんを見守ってくれていたんですね。
    ご主人様もにいたんさんも本当に優しいな。
    もうすぐ、鉄子ちゃんにも会えますね♪
    退院まであと数日…あいこさんファイトです

  9. リーリママ より:

    とっても素敵な病院ですね。
    まるでホテルのようです。
    私の父親も今、入院してますがこんな素敵な病院に入れてあげたかった。
    苦しくても看護師さんを呼ぶのは気が引けますよね。父も呼ばないで母親に電話してくるんです。でも、母もずーと居るわけにいかないので最初のあいだ困っていました。
    今は自分で歩けるし楽になってきたので母に電話する回数も減りました。
    あいこさんの不思議な体験、さぶろーさんとお母様、いつでもあいこさんを見守っておられる気がします。
    ご主人もナオキさんもご家族思いの優しい何か家族のあるべき姿のように感じます。
    それと前のブログで運動音痴のあいこさんのお話は私も同じと共感しました。
    小学生のときは体育の時間が嫌いで明日雨になる事を願って寝ました。免許も6年前に取ったのですが壁に当たりそうになり何度も教官にブレーキを踏まれたなど失敗はたくさん。
    今でも慣れない運転で走っております。

  10. ままりん より:

    こんにちは。
    御両親の愛は魂になっても我が子を思い守っているのですね。
    ジーンとして涙がでます。
    病院は本当に都心にあるとは思えない位に自然がいっぱいで綺麗ですね。
    私も入院するならこんな病院にしたいです。
    でも遠いから無理かな。
    おとうさんもにいたんも妹さんも素晴らしい家族ですね。羨ましいです。
    退院したら鉄子ちゃんを思い切り可愛がってあげて下さい。

  11. ラッキーママ より:

    あいこさんのされた体験、やはり手術を受けられた方から似たようなお話を聞いた事があります。
    やはり魂が運転手で体は乗り物である車だからそのような体験もおこるのでしょうね。
    私の知人の体験では手術後体中の細胞が総入れ替えされて、新しい体になった!という感覚になり1週間くらいフィットしなかったらしいのですが、徐々になじんで行ったとのこと・・・もちろん全身の手術などではなく子宮を摘出された方なのですが・・・
    写真すっごい綺麗ですね~夕焼けも夜景も美しいっ、都会っ!
    お父さん毎日お見舞い・・・う~む、単身赴任とか100%成り立たない家庭ですね・・・お父さんかなりあいこさんに惚れてますね・・・
    お父さんが長らく佐賀に行かれた時は、鉄子ちゃんの熱烈歓迎ぶりがアップされてましたが・・・あいこさんも本当は熱烈歓迎だったのでは?むふ♪

  12. みえ より:

    ご両親がずっとそばで見守っていてくくださったんですね。
    きっと今も。
    あいこさんの奇跡的な回復は、ご家族みなさんのおかげでもありますね。
    ありがとうって言えるあいこさんも素敵です。
    すばらしい病院ではありますが、やっぱり退院が待ち遠しいですね。
    鉄ちゃんが、どんなり喜ぶことか。

  13. ringo より:

    あいこさん、幽体離脱してたんでしょうね。
    私も何度か経験ありますが、不思議な感覚だし、
    普段見えない事や物、人が見えたり、
    相手からも自分が見えてる事が感じられたり。
    大切なあいこさんの一大事ですから、
    ご両親が来てない訳がないですよね。
    皆さんに守られて、あとは鉄ちゃんの元に
    元気に帰るだけ!
    ふぁいとp(^_^)q !あいこさん!!

  14. まままま より:

    不思議な体験?記憶ですね。
    うちの息子も病院で治療中に幽体離脱みたいに天井からベッドの自分を見てたとか言ってました。
    さぶろーさんも豊子さんも愛子さんが心配で見にこられたのでしょうね。
    にいたん、キラッキラに輝いてますね~。
    パパさんも毎日おつかれさまです。
    鉄ちゃんも下痢しないでがんばってエライです。
    帰ったら 鉄ちゃんの「お母さん待ってたよ~」攻撃が待ってますよ~!

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